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畳之下新聞

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武雄市のTSUTAYA図書館は、なぜ2年連続赤字なのか

通称TSUTAYA図書館として有名な武雄市図書館が、2年連続赤字運営であると報道されました。

www.saga-s.co.jp


(追記) 2016年7月には3年連続赤字運営であると報じられました。www.saga-s.co.jp


「図書館が赤字」というと不思議に思いますね。
武雄市図書館は、TSUTAYA図書館と呼ばれる通り、指定管理者制度を使用して、民間企業であるカルチュア・コンビニエンス・クラブ(CCC)が運営しています。
CCCは、武雄市から図書館の指定管理料として固定の金額を受け取り、その指定管理料の中で人を雇い、図書を購入するなど、図書館を運営するわけです。
ところが、指定管理料を超える費用がかかったため、2年連続赤字運営が続いているというわけです。

指定管理制度は、公共施設の運営に幅広く導入されており、図書館もその限りではありません。

武雄市図書館は、どのような収支構造なのか、そしてなぜ2年連続赤字なのかを、推定してみたいと思います。

想定すべき変動要素

図書館の管理指標としては「来館者数」と「貸出数」が広く利用されているようです。
来館者数と貸出数は一定の相関があると推定されるので、今回はコントロールできない変動要素として「来館者数」を想定します。

指定管理部分の収支構造を考えてみる

収入は、指定管理料として固定の金額です。来館者が増えても減っても、金額変動はありません。
支出としては、大きなものとして人件費、水道光熱費、資料購入費がありますが、来館者数と連動するような、いわゆる変動費は見当たりません。
図書館の指定管理は、収益構造が簡単で、外部要因による影響も受けにくいビジネスに見えます。
事前に収支予測をする事は、そう難しくなさそうです。

民業部分の収支構造を考えてみる

武雄市図書館には、指定管理者であるCCCが運営する、蔦屋書店と、スターバックスコーヒーが併設されています。
蔦屋書店には書店とCD/DVDレンタル、スターバックスコーヒーはカフェを営業していますが、収支の情報は公表されていません。

しかし、収支構造を想定するのはそう難しくありません。
どちらも、来館者数が増えると、それに売上とコストが連動するという構造で間違いないでしょう。
つまり、来館者数が増えると利益も増え、来館者が減ると利益も減る*1という構造です。

なぜ赤字なのか

図書館の指定管理部分は、固定費がほとんどで、事前にコストを予測することは難しくなさそうでした。
どちらかというと、「自治体の予算内で回せるか」が重要で、そこを間違えなければ、赤字になることはなさそうです。

民業部分である、書籍の販売やCDメディアのレンタルは、CCCの本業ですし、武雄市には店舗もあるので、商圏分析は極めて正確でしょう。
また、スターバックスコーヒーもCCCのライセンス店舗で、武雄市図書館が初めてというわけではありませんから、民業部分の収支予測を読み間違えるとは考えにくいでしょう。

変動要素となるのは来館者ですが、CCCは年間50万人と見込んでいたところ、実際には、1年目92万人、2年目80万人と大きく上振れしました。
しかし、想定の倍近い来館者があるにもかかわらず、図書館受託部分は2年連続赤字で、民業部分でその赤字をカバーできていない状況になっています。

武雄市図書館の指定管理契約は5年間ですので、あと3年残っています。
コストダウンの余地は人件費以外になさそうで、実際2年目に減少した支出額約1千6百万のうち、1千万円は人件費です。
CCCは、開館時に3億円を投資したとされており、最初の2年は赤字運営、残りの3年間でも投資回収はおろか、大幅な収支改善は望めそうもない状況に見えます。*2

図書館の指定管理料は赤字の金額で5年間固定、民業部分は予測の倍近い来館者でも赤字。

さて、武雄市図書館はなぜ赤字運営なのでしょうね?

(追記)

なぜ赤字でもやっていけるのか、全体像が見えてきました。

自身のメルマガでは、≪武雄市役所のような弱小自治体からCCCのような日本を代表する企業の子会社の社長になったということは、僕的には下克上(笑)≫と悪びれず、つづっていた。
dot.asahi.com

CCCに選書した本の購入先について聞くと、こう説明した。
「ネット中古大手『ネットオフ社』より調達。中古流通からの調達は、事前に武雄市にも承諾を得ています」
ネットオフの運営会社とは、10年にCCCが株式の30%を取得したCCC傘下のグループ企業で、なんと疑惑の選書は全て“身内の新古書店”から購入したものだったのだ。
dot.asahi.com

図書館改革を積極的に推し進めていた前・武雄市長の樋渡啓祐氏が7月に、CCCの子会社である「ふるさとスマホ株式会社」の代表取締役に就任していて、“天下り”ではないかと週刊誌で報道された
www.news-postseven.com


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nukalumix.hateblo.jp

*1:誤記を直しました

*2:ちなみに、武雄市は開館時に4億5千万を投資しています。また、直営から指定管理に切り替えた事による予算削減額は年間約1400万円です。