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畳之下新聞

畳の下に敷いてある新聞には、あなたの心を惹きつける言葉が書かれています。

佐賀県武雄市発自治体通販サイト訴訟、判決へ

2011年11月に佐賀県武雄市がオープンさせ、その後全国の自治体が参加している自治体運営型通販サイト「FB良品」。

その「FB良品」に関する契約には違法性があるとして、武雄市武雄市長が提訴されていた住民訴訟は、2014年3月14日午後、佐賀地方裁判所において判決が言い渡され、原告の訴えは「却下」されました。

 

 

武雄市長のblogでも、住民訴訟却下についての記事が投稿されています。

 

追伸)本日、13時15分より、佐賀地方裁判所において、武雄市が受けていた「JAPAN sg」に関する住民訴訟について、判決の言い渡しががあり、裁判として結審したことを報告します。この訴訟については、昨年10月に協定書の違法性と企業連合と自治体の契約の違法性について、訴状を出されていたものです。

 

判決内容は、概ね以下のとおりでした。

 

①「本件訴えを却下する」

②「訴訟費用は原告の負担とする」

 

却下とは概ね次のような意味合いです。訴訟要件(訴えの利益、原告適格被告適格等)の欠如により、本案審理(実体審理)に入る前に訴えを退けること。いわゆる「門前払い」判決。これにより、こちらの主張通り、F&Bホールディングスの協定や各自治体との契約に違法性がないことが確認されました。

 

東急ハンズ梅田店で、「JAPAN sgフェア」が!

http://hiwa1118.exblog.jp/20463188/

 

 

契約に違法性はなかった?

(住民訴訟に至った経緯や、訴えの詳細については、 佐賀県武雄市発の自治体通販が法廷へ をごらんください)

 

原告の訴えは、以下の点でした。

 

自治体運営型通販サイトの運営を行うにあたり、武雄市が民間企業2社と結んだ企業連合協定は、「法人に対する政府の財政援助の制限に関する法律」に違反しており無効である。また、企業連合と各地方自治体が締結した通販サイト構築に関わる契約も無効である。

 

地方自治法242条の2第1項には、住民訴訟を提起できる類型として4つが定められています。

 

住民訴訟

第二百四十二条の二  普通地方公共団体の住民は、前条第一項の規定による請求をした場合において、同条第四項の規定による監査委員の監査の結果若しくは勧告若しくは同条第九項の規定による普通地方公共団体の議会、長その他の執行機関若しくは職員の措置に不服があるとき、又は監査委員が同条第四項の規定による監査若しくは勧告を同条第五項の期間内に行わないとき、若しくは議会、長その他の執行機関若しくは職員が同条第九項の規定による措置を講じないときは、裁判所に対し、同条第一項の請求に係る違法な行為又は怠る事実につき、訴えをもつて次に掲げる請求をすることができる。

一 当該執行機関又は職員に対する当該行為の全部又は一部の差止めの請求

行政処分たる当該行為の取消し又は無効確認の請求

三 当該執行機関又は職員に対する当該怠る事実の違法確認の請求

四 当該職員又は当該行為若しくは怠る事実に係る相手方に損害賠償又は不当利得返還の請求をすることを当該普通地方公共団体の執行機関又は職員に対して求める請求。ただし、当該職員又は当該行為若しくは怠る事実に係る相手方が第二百四十三条の二第三項の規定による賠償の命令の対象となる者である場合にあつては、当該賠償の命令をすることを求める請求

 

 今回の住民訴訟は、242条の2第1項2号の「行政処分たる当該行為の取消し又は無効確認の請求」として提起されていました。そのため、武雄市が締結した企業連合協定が、住民訴訟の対象となる「行政処分」にあたるかどうかが争点となっていました。

 

佐賀地裁は、企業連合協定の締結は「行政処分」にはあたらず、住民訴訟として不適法であるとの判断を示し、原告の訴えは「却下」されました。

 

却下とは、簡単に言うと「訴訟としての形式的な要件を備えていないから、実質的な判断をするまでもなく、裁判所として受け付けられないですよ」という判決です。

裁判所は、訴えの内容に関し一切の判断を示していません*1。つまり、契約内容に違法性が無いという判決でも違法であるという判決でもありません。

 

住民訴訟は却下されましたが、武雄市が民間企業2社と結んだ企業連合協定が「法人に対する政府の財政援助の制限に関する法律」に違反しているか、その判断が行われたわけではないのです。

 

武雄市長の「住民訴訟の却下により、F&Bホールディングスの協定や各自治体との契約に違法性がないことが確認された」という主張は間違いです。

なぜこのような表現をしたのでしょう?

 

立ち止まった鎌倉市

2014年2月28日に行われた、鎌倉市議会2月定例会総務常任委員会

鎌倉市における自治体運営型通販サイトの現状に関する、担当部門からの報告が行われました。

 

現在、本委託契約については、契約を解除するため、契約の相手方(中略)との間で協議を進めております。

契約解除の方法として、市としては双方の合意による契約解除を行う、合意解除契約を締結する方法、いわゆる合意解除を行いたいと考えており、本契約を合意解除するための協議申し入れを平成26年2月14日付けで文書をもって契約相手方に要請したところでございます。

(鎌倉市議会インターネット議会中継 平成26年2月定例会2月28日総務常任委員会 より書き起こし)

  

鎌倉市は、武雄市とF&Bホールディングス企業連合に対し

鎌倉市が支払う委託費約720万円(全額国の補助)のうち、武雄市に入るのはいくらなのか」

という、国の補助金を使う上で必要となる情報を照会していました。

しかし、約2ヶ月の間、その回答を得ることはできず、2013年12月19日、鎌倉市の松尾崇市長は「市政運営が滞る。これ以上時間をかけられない」として事業実施を断念しました。

 

その後、F&Bホールディングス企業連合と締結していた委託契約の解除と、国からの補助金(緊急雇用創出事業)の事業中止申請を行っており、鎌倉市は通販サイト事業中止に向け正式な手続きを進めていたことが明らかになりました。

 

鎌倉市が参加を見送ったことで、鎌倉市議会で問題となった「武雄市に入る金額はいくらなのか」については、最後まで回答を得ることができず、F&Bホールディングス企業連合の運営実態は依然として不透明なまま幕切れとなっています。

 

*1:内容について判断した場合は「棄却」です