読者です 読者をやめる 読者になる 読者になる

畳之下新聞

畳の下に敷いてある新聞には、あなたの心を惹きつける言葉が書かれています。

駒崎氏らの言う「待機児童が減らないのは子育て世代の声が政治に伝わっていないから」は本当か

「保育園落ちた日本死ね!!!」から始まった待機児童問題。

anond.hatelabo.jp

駒崎氏などからは「待機児童が減らないのは、子育て世代の声が政治に伝わっていないからだ」という指摘がされています。

www.komazaki.net

otokitashun.com

はたして本当でしょうか?
そんなことはありません。

保護者の意見は、毎年政治へ伝わっていて、それを政治は無視していないのです。


子育て世代100万人の署名

保育園に通っていると、年に何度か、署名を求められる事があります。
これらの署名運動は、保育3団体とよばれる、全国私立保育園連盟、全国保育協議会日本保育協会が連名で国会に提出しているものが最も有名でしょう。
全国私立保育園連盟は私立の認可保育園、全国保育協議会は全国の認可保育所日本保育協会は民間保育園が加盟する団体です。

毎年継続的に数十万人規模の署名を集め、国への請願を行っており、最近ではなんと100万名を超える署名を集めているのです。

平成25年度、本連盟として取り組んできました標記の署名活動については、各加盟組織並びに会員園各位のご協力により1,010,284名(最終集約数)の賛同を頂きました。
保護者や保育者の皆様のご理解、ご協力に心より感謝申し上げます。
http://www.zenshihoren.or.jp/torikumi/seigan/

厚生労働省は待機児童解消のために、平成29年までに40万人分の受け入れ枠確保にむけて取り組んでいて、すでに平成25年度と26年度で約22万人分の受け入れ枠がすでに確保されています。
保育3団体の請願と政策は連動していて、「子育て世代の声が政治に届いていない」と単純に言ってしまうのには無理がありそうです。

保育3団体の声は子育て世代の声なのか

では、保育3団体は本当に子育て世代の代弁者なのでしょうか。
保育3団体の請願を後押ししている、署名の実態をみてみましょう。

断りにくい署名

100万人分を集めたこの署名ですが、各保育園が保護者から集めた署名が、保育3団体に集約されたものです。
「緊急の保育課題への対応」「認可保育制度の充実」「待機児童の解消」など、署名用紙には保護者の目から見ても賛同できるキーワードが並んでいます。
保護者の立場になれば、毎日顔を合わせる相手から署名を頼まれれば、断るのは難しいという人が多いでしょう。
もちろん、今の保育制度がもっと良くなるように願い、署名をしている保護者も多いでしょうが、深く考えずに署名している人も多いように思います。

個人の意見より園の方針

それぞれの保育園によって、署名運動への取り組みには濃淡があります。
署名用紙が配布されるだけの園もあれば、お迎えの時に対面で記入を依頼される園、はたまた事実上のノルマが存在する園もあると聞きます。

また、政治的方針から保育3団体の署名活動そのものを行っていない園*1に通っている場合は署名を知る機会すらありません。
つまり「どの園に通っているか」と「声をあげられるか否か」が連動しているという、歪な状態になっているのです。

善意から生まれる「子育て世代の声っぽい何か」

署名運動によって政治に伝えられるのは、保育3団体の考える「子育て世代の声っぽい何か」であって「子育て世代の声」ではありません。

「善意の署名」で作られた「子育て世代の声っぽい何か」は政治に届き、政治はそれを「子育て世代の声」として政策に反映させています。
その結果生まれたのが、保育園の数は増え、定員数も増えているのに、待機児童も増えているという、今の的外れな状況です。
まさに「地獄への道は善意で舗装されている」といったところでしょう。

署名を書くよりネットに書こう


じゃあ、どうすればいいのか。

保育園の保護者は良かれと思って署名するのはやめよう

まず、保育園の保護者は、署名するかどうかをよく考えましょう。
署名用紙には、どのような目的なのかと、どの団体が集めている署名なのかが書かれています。
残念なことに、署名用紙だけで判断することは難しいですが、自分の意思に合わないと考えるのであれば、勇気を出して断るべきですし、支援すべきと考えるなら署名すべきでしょう。
保育園に入園できているあなたが、良かれと思って書いた署名が、現在の的外れな状況を生んでいる一因となっているのです。

保育3団体は半強制的な署名集めをやめてほしい

保育3団体は、保育園内での半強制的な署名集めを止めさせるべきです。
園と保護者の関係に依存している現在の署名方法は、保護者の意思すら反映しているとは言いにくいものになっています。
また、署名を保育園内で集めている限り、現在保育園に通うことができていない保護者には、署名する機会すらありません。
保育行政への提言を行うのであれば、待機児童にある状態の保護者も署名できるよう、保育園を通じた署名以外の方法を配慮すべきでしょう。

保護者はもっとネットで騒ごう

待機児童を持つ保護者は、もっと声を上げていきましょう。
ベビーカーを押してデモすることは難しいかもしれませんが、ネットに自分の思いを書くことはできるのではないでしょうか。
「保育園落ちた日本死ね!!!」と書き込むと、政治家やマスコミ、有識者が勝手に反応してくれる時代です。


みんなで好き勝手ネットに書き込む事こそが「ネット時代のデモ」なのではないでしょうか。



3/12 追記

change.orgで集められた28,460人の署名が、民主党山尾志桜里衆院議員を通じて、塩崎厚労大臣に手渡されました。

www.change.org


www.dpj.or.jp


保育3団体は、毎年数十万人以上の署名を集め、継続的な請願を続けてきたわけで、今回の活動が継続的なものにできるかどうかが今後の課題でしょう。
ちなみに、保育3団体の請願は「政権与党」に行われており、民主党政権時代は、民主党議員に対して行われています。
この待機児童の問題も、一時的な政治課題になってしまうように思えてならないのですが、どうでしょうか。


面白かったらブクマしてね!

*1:保育3団体は政権与党への請願を行っていますが、他の政党への請願を目的とした団体の署名を集めている園もあります。そして多くの場合、事前にその方針を知ることはできません。