1月11日は佐賀県知事選挙の投票日です。
ネット選挙が解禁されたいま、各候補が、ネットをどう使っているかを比べてみました。
というのも、佐賀県知事選は、ネット選挙の今後を考える上で、重要な選挙だからです。
その理由は後ほど説明するとして、まずは各候補者のネット選挙の様子*1を見てみましょう。
いさがい良隆 候補
選管届出ページ
選管届け出ページは、後援会のページです。おそらくJimdoの有料版を使っていて、ほぼ素の状態ですね。
手作り感はあるものの、活動の予定や公約、連絡先など必要最低限の情報が網羅されています。
ホーム - いさがい良隆後援会
blog
選挙用ではなく、個人のlivedoor blogです。
選挙期間中も、候補者本人が更新しているようですね。
飯盛良隆のi佐賀iよ〜したか
後援会のfacebookページがありますが、選挙期間中は更新していないようです。
Facebook - フェイスブック - ログイン (日本語)
後援会の会員向けに、公開facebookグループが開設されていて、こちらは頻繁に更新されていますね。
Facebook
本人名義のツイッターアカウントがありますが、選挙期間中は更新されていません。
ひわたし啓祐 候補
選管届出ページ
選管届出のページは、候補者個人のblogです。
武雄市長時代は「武雄市長物語」だったタイトルが、市長辞職に伴い「佐賀県民物語」に変わり、選挙期間中に「佐賀県知事候補者☆樋渡啓祐物語」と☆が入ったタイトルになりました。
武雄市民物語
候補者サイト
今回の選挙向けに作成された後援会サイトは、まさかの WiX.com 無料版です。
公約の画像データがスマホからは小さくて全く見えない、埋め込まれたYoutubeが非公開設定で再生できないなど、粗さが目立ちます。
また、選挙期間中に公開されたようで、候補者名での検索順位も低い状況が続いています。
樋渡啓祐(ひわたしけいすけ)佐賀県知事候補公式ホームページ
ひわたし啓祐候補者は「日本フェイスブック学会」の会長です。
今回の選挙中でも、選挙のためのページは準備せず、候補者個人のfacebookを活用しています。
facebookページではないため、facebookアカウントがないと見ることはできませんが、1日1回のペースで更新されているほか、支持者が撮影した写真や動画がウォールに表示されるなど、アクティブに利用されています。
樋渡 啓祐 | Facebook
ひわたし啓祐候補者は「日本ツイッター学会」の会長でもあります。
ところが、知事選出馬表明のタイミングでツイッターをやめると宣言、まもなくアカウントは削除され、周囲を驚かせました。
しかし、削除から約3週間後にはアカウントが復活、約24000件あったツイートが約450件まで削除されるとともに、候補者名も写真もない状態の、非公開アカウントとなっています。
山口よしのり候補
選管届出サイト
選挙ポスターやパンフレットと統一されたデザインの、いかにも政治家といった感じの安定感あるサイトです。
ネット選挙解禁前のような堅苦しさやフォーマットの古さは感じますが、動画の利用やレスポンシブ対応など、出馬表明がもっとも遅かった割には、しっかり作りこまれている印象を受けます。
山口よしのりオフィシャルサイト 元総務省 地域再生スペシャリスト [ 山口祥義 公式サイト ]
https://www.facebook.com/yamaguchi.yoshinori.official
県知事選挙向けに作成されたfacebookページです。
活動の様子が写真つきで頻繁に投稿されており、継続的な更新体制が取られている印象を受けます。
blog
blogは確認できませんでした。
アカウントは確認できませんでした。
島谷ゆきひろ候補
選管届け出サイト
立候補表明以前からある個人ページです。Google Siteで作成されています。
特に県知事選挙に関する情報はなく、これまでの研究に関する情報などがこまかく記録されています。
島谷幸宏
後援会サイト
選挙向けに作成された後援会のサイトです。
公約やプロフィール、blogの他、会見のYoutubeが埋め込まれていたり、演説の様子がツイキャスで配信されていたりと、ネットを幅広く活用しています。
島谷幸宏(しまたにゆきひろ)後援会 | 島谷ゆきひろ
選挙向けに作成されたfacebookページで、1日に数回のペースで投稿されています。
その日の街頭演説の様子などが、写真つきで配信されています。
島谷幸宏&おもやいnew佐賀 | Facebook
後援会とのアカウントでは、日々の活動予定がツイートされています。
候補者個人のアカウントでのツイートは12月で止まっていますが、一時アカウントが凍結されていたそうです。
なぜ佐賀県知事選に注目するのか
ここまで各候補のネット戦略を見てきました。
各候補とも、ネット対応には全く力を入れていないというのが率直な感想です。
活動状況のダイジェストを動画で配信する候補もいますが、街頭演説を動画配信するところまでは至っていません。
また、facebookやtwitterも、一方的な情報発信のみで、有権者との意見交換を行っているとは言い難い状況です。
ではなぜ、今回の佐賀県知事選が、ネット選挙の今後を考える上で重要な選挙なのか。
それは、インターネットによる落選運動が行われているからです。
落選運動とはなにか
落選運動とは、特定の候補者を当選させないために行う運動で、選挙運動ではありません。
選挙運動とは、「特定の選挙について、特定の候補者の当選を目的として投票を得又は得させるために直接又は間接に必要かつ有利な行為」とされています。逆に純粋に当選を得させないための活動(いわゆる「落選運動」)は選挙運動には当たりませんが、他の候補者の当選を目的として行う落選運動は選挙運動に当たります。よく似たものに、候補者が自らの当選を目指すために行う「ネガティブ・キャンペーン」があります。
選挙運動にインターネットを利用される皆様へ
「ネガティブ・キャンペーン」は、「他の候補者のネガティブな情報を利用して、自らの選挙運動を有利にする」ことを目的としているのに対し、「落選運動」は、「純粋に特定の候補者を当選させない」ことを目的としています。
今回の佐賀県知事選では、ひわたし啓祐候補の落選運動が行われています。
落選運動サイトにある個々の内容については、各人の判断にお任せします。
レスポンシブ対応や適切なSEO対策、GitHubでのソース公開など、落選運動のサイトがどの候補者よりもネット選挙に対応しているのが、なんとも皮肉なところですね。
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本記事については、ウェブサイト等を用いた選挙運動・落選運動に該当しない内容と認識しておりますが、任意で連絡先を明示いたします。
Twitter: @nukalumix
1月12日午後追記
樋渡氏は、一時非表示状態となっていたfacebookアカウントを再開しました。
忙しいですね。
*1:届け出順